【完】歪愛

⑥共依存 /甘えたい


成瀬がいなくなった部屋の中で、ベッドに手足を投げ出して寝転がる。
広いベッド…。
部屋も広いし。

何時頃、成瀬は帰ってくるのだろう?
そう思った瞬間、少し寂しいと感じてしまった。
今までだってずっと1人でいたのに、変なの。

何か気を紛らわせようとしたけれど、何もしたくない。


眠ったり、起きたりを繰り返していた。
我ながら、ひどい1日だ。
朝から何も口にしていないけれど、お腹は全然減らないし、喉の渇きも感じない。
このまま、自分が布団と1つになれそうな気がするくらい。


ふと、部屋が暗いことに気づいた。
もう5時半か…。
ガチャっと鍵の開く音がして、玄関から人の気配を感じた。
成瀬が帰ってきたのかな。

部屋の入り口まで向かう。
と、同時にドアが開かれた。

「ここに突っ立ってたの?」

「ううん。お出迎えしにきた。おかえり」


自分でも驚くくらい、素直な言葉が出てきた。

「ただいま。待ってたんだ。」

途端に成瀬の雰囲気が緩くなる。
優しい時の成瀬は好き。
私のこと、大切にしてくれているのかもって錯覚できるから。

「…、少しだけ、寂しかった」

成瀬に抱きつき、思いっきり息を吸った。
成瀬の匂いがする。
それと一緒に外の匂いもした。

「…、本当にどうしたの?なんか悪いものでも食べた?」

胸に顔を埋めたまま、私は首を横に振る。


「ん?待って。そもそも何か食べた?」

「…」

「ほんとありえない。餓死しても知らないから」




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