【完】歪愛

SS ① /成瀬視点

最近、花絵の様子がおかしい。

俺が何をするにしても、べったりと後ろにひっついて来て、甘えたがる。
それがちょっと…、いや、かなりうざい。

と思いきや、学校では目も合わさない。
なおのこと、うざい。


最近、花絵が俺を振り回してる気がする。


そんなふうに考えながら、料理を作る花絵をながめる。

「何?」

視線に気づいた花絵が首をかしげる。

「…、別に」

「蒼衣、後ろからギュってして」

「やだよ」

「冷たい」

「…」

花絵がチラチラ見ながら料理を再開する。
目があまりにも捨てられた犬みたいで…、ため息をつきつつ、そっと立ち上がり、仕方なく後ろから抱きすくめる。

「わーい」

花絵が満足そうで何よりだ。
もちろん、可愛いとは思うけれど、もともと淡白な俺からしたら、少しめんどくさい。

「これで満足?」

「…、嫌だった?」

「…、別に。めんどくせぇなって思っただけ」

あまり調子に乗られると面倒だから釘を刺しておく。

「…、ごめん。もう、大丈夫」

花絵が俺の腕から逃れようとする。
今にも泣きそうな顔をしていて、俺は逆に嬉しくなる。

「泣いてるの?」

「まだ、泣いてない」

「泣きそうなんだ?」

「な、泣かない!」

唇を噛み締めて、花絵が暴れる。
花絵が泣きそうになる程、俺は反対に楽しくなってしまう。

「私のこと、もう、嫌いになったんでしょ」

「は?」

「前は優しかったのに…、今の蒼衣は意地悪ばかりする」

今にもこぼれ落ちそうな涙を目に溜めている。




.

0
  • しおりをはさむ
  • 18
  • 7
/ 177ページ
このページを編集する