【完】歪愛


「前からこんなんだろ。勝手に俺のイメージ作るなよ」

「…、もう、ご飯作ってるからあっち行って」

「言われなくても」

そう言って俺は、花絵から手を離すと、違う部屋に向かう。
以前は、お風呂やトイレ以外はずっと同じ部屋で、主に俺が花絵を拘束していた。
それがいつの間にか、俺の方から別の部屋に移動することが増えた。
その後ろを花絵が着いてくるのが最近のスタイルだ。


今日の花絵はむくれているのか、着いては来ない。
ちょっと面白くない。
普段は面倒だと思っているのに、いざ突き放されるとイライラする。
我ながら天邪鬼だ。



寝室で本を読んでいると、花絵がドアをノックしたり

「あ、蒼衣、ご飯できたけど…」

「あとで食べる」

もうすぐ1章分が読み終わるから、それまでは中断したくなかった。
花絵からの返事はなかったけれど、ドアの前から遠ざかる足音がしたから、肯定と見なした。

数分、本を読み、部屋を出ると家の中が嫌に静かだった。
もともと、花絵は静かな方だけれど、気配がない。
嫌な予感がして、玄関を確認する。
花絵の靴がなかった。


はぁ、マジでイライラする。
本当に、花絵はイラつかせる天才だな。


そう思い、俺は靴を履いて外に出た。



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