【完】歪愛

SS② /side 蒼衣

花絵が退室するのを確認して、俺は家族に説明する。
っていうか、何でこんなことになったんだ、めんどくさい。

十中八九、愚兄のせいだろう。
俺が慎重派なのと引き換えに、この兄は思いつきで動くし、お節介大好きなブラコン野郎だ。
俺が花絵に相当ゾッコンと聞いて、なんとか結婚までさせようと企んでいるに違いない。

「はぁ…、花絵は一般人なんだ。しかも、その辺のマスコミでも、調べれば相当辛い過去が明かされる。俺はそれでも構わないけれど、花絵が負い目を感じてしまう」

「あら?そんなの愛があれば大丈夫よ」

「そうだよ。お母さんだって、僕の妻だって、愛の力で乗り切ったさ」

「そりゃ、お母さんとか、お姉さんみたいに底なしに明るい人だったら、どうってことないでしょうね」

「花絵ちゃん、感謝祭に呼んでもらえなかったこと、蒼衣が僕たちに紹介したくないからだと勘違いしてたよ?そういう誤解は解いてあげるべきじゃないかな」

「それは事実だから。花絵を誰にも見せたくない」

「それなら、そうと言えばいい。紹介したくないんじゃなくて、僕が嫉妬するからヤダって言えばいいのに」

「絶対ヤダ」

「本当にプライドだけは一丁前だな」

「もう、お父さんそっくりよね。貴方も何か言ってちょうだい」

「私は…、蒼衣たちのペースに任せていいと思うがなぁ…、お前も暁もせっかちすぎる」

「そうかしらねぇ。だって、あんなに綺麗な娘さん、早く捕まえとかないと」

「母さん、俺も花絵もまだ高校生なんだよ?」

「暁だって、奥さんとは高校生の頃からよね?」

「その通りだよ」


手を取り合って急かしてくる兄と母に頭を抱えていると、入口の方が何やら騒がしい。


「花絵様っ!お待ちください」

「いえ、大丈夫です!帰れますから!」

そんな押し問答が聞こえ、俺は思わず走り出していた。



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