君との距離は【完】

××mm /彼が保健委員の理由






『そういえば葉山くんって3年間保健委員だよね?』

「そうだよ」

『保健委員って人気じゃない?』

「そうなの?」

『私のクラスでは毎年争奪戦だったよ』

「へえ」

『へえ、って…葉山くんはじゃんけんとかしなかったの?』

「してない」



皆川さんはいつもよく話を聞いてくれる人だと思う。僕が言ったことは僕よりも覚えていて、時々こうして急に引っ張り出してくる。


保健委員だって、現役の時に話すなら分かるものの卒業して解放された今話題として持ってくるのだから発想力もすごいと思う。


3年間保健委員、そういえばそうだった。
別に仕事をしたことがないわけではないが、まともに働いたのは体育祭の時くらいではないだろうか。あの行事は怪我人が多いので時間ごとに交代で保健委員も手伝いに入る。


それほどまでに保健委員は基本的に仕事がなかった、と記憶している。
だから皆川さんも保健委員は人気だと言っているのだろうし。


クラス替えをして割と初めの方に決める委員の仕事で、3年間迷わずに保健委員を選んだが人気職だったことは今初めて知った。


でももし他にやりたい人がいたら、じゃんけんしていただろうから幸運なことに僕のクラスの男子はやりたい人がいなかったのだろう。


そういえば女子はじゃんけんをしていたかもしれない。誰となるとか興味なかったので一緒になればよろしく、程度のものだった。



『私のクラスは今思えば葉山くんが居たから人気だったのかもしれないなあ』

「え?」

『私も保健委員になれば葉山くんともっと早く知り合えてたかもね』



過去のことだし、今一緒に居られるので何の問題もないのだけれど、少し悔しそうに、でもやっぱり楽しそうにたらればの話をする皆川さんはいつも可愛い。




0
  • しおりをはさむ
  • 45
  • 55
/ 355ページ
このページを編集する