私のタイプは君じゃない!

1.癒し系男子の日常 /「離れてなんてあげないよ」






格好良い人というのはいつでも話題の的になる。それは学年問わずで、知らないうちに広まっているらしい。



『りーんー!』

「ん?」



そしてその格好良いと言われる人の影響力は強い。


私の名前は正確に言えば''りん''ではないのだけれど、ずっとりんと呼ばれ続けているために当然のように高校に入ってもりんと呼ばれるようになった。


発信者は人気者であるから勝手に広まったのだろう。



『また一条くんとイチャイチャしてー』

「イチャイチャ?」



ま、勿体ぶる話でもないので言ってしまうとその格好良い人というのは幼馴染の一条さん。
彼の影響で私は知らない先輩からも''りんちゃん''と呼ばれる。


入学初日からクラス内で格好良いと噂され、次の日には学年全体に伝わり、一週間後には学校全体に蔓延したさくのイケメン度。


見慣れているから格好良いと思えないのではなく、私からすればタイプではないだけの話で。
話す時に緊張すると言う周りの話について行けないのも、幼馴染からすればただ頼りないヒモ男子だとしか思えないからで。寧ろ強気に話せてしまう。


しかし、周りよりも少しだけ仲が良いように見えて、周りよりも少しだけさくのことを知っていて、周りよりも少しだけさくに頼られるからかよく付き合っていると誤解される。


その度に私は丁寧に否定するのだが、さくが適当な所為で時に付き合っていることが逆に広まることがある。大変困る。やめてほしい。お互い害を被るしかないのに「人の噂も75日」とか言い出す。


さくの場合は75日じゃ済まないのだということを自覚した方が良いし、私からすれば75日であっても長過ぎて死にたい。



『本当に付き合っちゃえばいいのに』

「皆してどうしてさくなの?有り得ないんだけど」

『お似合いだよ』

「幼馴染だから、でしょ。あんな人と付き合ったらストレスで禿げる。付き合わなくても白髪増えてる」

『あんなイケメンなら私だったら喜んで何でもしてあげちゃうのに』

「じゃあ是非私の代わりに毎朝起こしに行ってあげて」

『え?まじ?』



スタスタ、クラスメイトの返事を聞くことなく廊下を歩く。




0
  • しおりをはさむ
  • 3
  • 30
/ 59ページ
このページを編集する