私のタイプは君じゃない!

1.癒し系男子の日常 /「僕のだよ」






『俺、実は入学した時から葉山さんのこと良いなって思ってたんだ』

「…私?」



なんて馬鹿な返答。
今ここに居るのは私と彼、2人だけなのに。


昼休み。


人気のない場所であり、告白スポットとしても有名な東校舎の4階。音楽室や美術室など文化系の教室が集まるここは、授業や部活がない昼休みにはまず人が来ることはない。



『葉山さんのことが好きです』



そこへ呼び出された私は隣のクラスの男子から告白を受けていた。


高校に入ってから初めてされた告白に戸惑いを感じつつ、誠実そうなその態度に心が全く揺れないということはない。という何とも上から目線な感想を抱く。


だって告白されるなんてイベント初めてなんだもん。


高校生になれば恋愛にももう少し敏感になるのかと思えば特に変わらずだし、彼氏が居る友人を見ても自身が付き合っていることは想像もつかない。兄を越える人にも未だ出会えない。



『付き合ってくれないかな?』



ストレートな告白に他人事のように、告白されているんだ、とぼんやり思う辺り、ここで付き合うことをOKしても長続きはしないのだろう。


それだけははっきりと分かっていた。



「ごめんなさい。えっと、あんまり知らないから…」



そもそも彼の名前が思い出せなくて誤魔化しながら返事をする。でもここできっぱり断ることが出来るほど厳しい性格を持っているわけでもない。臆病でありながら八方美人な面が出て嫌になる。


せめて仲良くなるところから始めたらもしかしたら。


告白をされることに憧れはあった。一度くらいは経験してみたかった。


でも、いざ告白されても断ることがこんなに辛いものだとは知らなかったから。さっきまで他人事のように耳に入れていた告白が自分自身にいきなりぶん投げられたような。それが直球で当てられてしどろもどろに目を合わせることも出来ず返事をする。




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