私のタイプは君じゃない!

1.癒し系男子の日常 /「寂しいじゃん」






衣替えの季節。
ブラウンのブレザーは中々お洒落で気に入っていたのだけれど、流石に暑くて着てもいられない。そんな時期。


梅雨入りしたのかしていないのか、分からないけれど湿気が強いそんな季節。


学生にとっては大嫌いなイベントがやって来る。



『あーもう、テストやだー!』

「テストねー」



笑佳が嘆きながらも私のノートと睨めっこしながら自分のノートに書き写す作業に取り組んでいる。


その様子をぼんやり見つめながら「やだねー」と明らかに心が込もっていない状態で適当な返事を返せば、すぐさま「成績良いからって!本当ムカつく!」と怒られた。


いや、テストは私だって憂鬱ですよ。


ただ私の場合、自分の勉強に構っていられるほどの余裕もないので普段の授業で全て頭に叩き込んでいる。自分のテストに関しては特に興味がない。
赤点を取らなければ良いだろう、くらいな心持ち。


問題はこれまたいつもの如く幼馴染であるさく。


彼は普段から天然でボケ気味。
そのほわほわした雰囲気が愛され要素でもあるのだが、雰囲気でごまかせないほどに馬鹿なのだ。



「どうしよう…」

『どうしようはこっちの台詞だから!助けて学級委員長様』

「彼氏さんに頼れば良いじゃん」

『また馬鹿にされるじゃん、やだー』



普段クールな笑佳がテスト前だけは年相応な態度を見せる。そんなところも可愛く映るのだが、どうやらそれを揶揄われることを嫌っているらしい。


笑佳の彼氏さんは大学生なのでただでさえ子ども扱いされることが多く、頼ることを苦手としている。


私からすれば子ども扱いではなく、単純に可愛いと思っているようにしか見えないし、頼られた時は嬉しそうな反応をしているのでどんどん頼れば良いのに、と思っているのだが。


こんな笑佳さんを見られることはレアなのでノートくらい簡単に貸してしまおう。




0
  • しおりをはさむ
  • 3
  • 30
/ 59ページ
このページを編集する