おやすみ、いい夢を

君の叫びは聞こえてる /夢の日々

等流は久々に夢を見ていた。もう何年も夢を見ていなかった。正確に言えば、夢を見られるほど眠ったことはなかった。
夢の中で等流は温かな海の中を漂っていた。自分の漂っている場所は海面から遥か遠い深海だと分かっているのに、なぜかあたりは明るかった。耳鳴りがするくらい静かな場所だった。
ゆっくり目を瞑ると、水の暖かさが心地よくていつまでもこのままでいたいと思えるほどだった。ふうっ、と自分が吐き出した息が泡となって、海面に向かって登っていった。その泡を見た途端、自分がどうして水中で生きているのか分からなくなった。酸素が必要なはずだ。その事実に気づくと急に息苦しさを覚えた。あまりの息苦しさに等流は必死でもがいて水面に上がろうとした。しかし、水をかいてもかいても水面にはたどり着かない。むしろどんどんあたりが暗くなってくるのだ。
助けてーーーー。そう祈るようにぎゅっと目を瞑ると、誰かが等流の体を掴んで、猛烈な勢いで水面に登り始めた。あたりはさらに暗くなっていき、気がつけば等流はその人物とともに完全な暗闇にいた。しかし1ミリも恐怖を感じていなかった。安らぎすら覚えていた。いつのまに水面に出たのか分からないが、息もできるようになっていた。助けてくれたのは誰だろう、そう思って等流は自分を抱えている人物を仰ぎ見た。顔は見えなかったが、眩しい金色の髪がキラキラと暗闇で光っていた。

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