おやすみ、いい夢を

「よしっ、じゃあ30分くらいで来るってさ」
コズモが等流に向かってにっこり笑いかけると、等流は微妙な顔をしていた。
「ん?どうかした?あ、食べたい物思いついた?」
等流は慌てて首を横に振った。
「あ、じゃあこれで文字打ってくれる?」
そう言いながらコズモは等流に自分のスマホを手渡した。等流はスマホを受け取ると不器用な手つきで文字を打ち始める。
『ふたりとも料理しないってちるさんが言ってた』
「そうだな、うん、俺も姉貴も料理できない」
『それは料理必要ないから?』
等流の打った文章を見てコズモは思わず苦笑いした。千流が等流を家政婦として雇う、と言いくるめてこの家にほとんど強制的に住まわしたのを思い出したのだ。実際には家事のほとんどを外注しているので、この家にやることなどないのだが。
「あ、そうだな・・・する必要は、ないかも・・・・・」
等流は顔を真っ青にして震える手で文字を打った。
『ごめんなさい、私役にたってない』
それを見て慌ててコズモが言った。
「それは違うよ!実際等流が役に立つとか立たないとか関係なくて・・・俺にとっては等流がここにいてくれるだけで大満足っていうか」
コズモは等流の琥珀色の瞳をまっすぐ見据えた

「つまり、等流と一緒に暮らせる今の日々は、俺にとっては夢の日々みたいなもんなんだよ」
コズモは柔らかく笑うと、等流の頰にそっと口付けた。千流がするのと同じ行為のはずなのに、いつもの倍以上に体が熱くなるのを感じて等流は戸惑った。

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