おやすみ、いい夢を

助けてとは叫べない /戸惑う彼

次の日、コズモは姉、千流に等流を会わせるため、千流の研究室がある理学部A2棟に向かった。そこにつくと等流はすでに到着していて、コズモを見ると小さく会釈した。

「ごめん、待たせたか」
等流は首を横に振った。
「じゃあ行こっか。姉貴の研究室はこの棟の五階なんだ」

コズモと等流は建物に入ると、エレベーターに乗った。
「昨日もバイト?」
等流はうなずく。
「何時まであったんだ?」
等流はメモ帳に書き込んだ。
『am8:00』
「うそ、ちゃんと眠れんのかそれ」
『学校からかえったら、ねる』
「体壊すぞ・・・等流ただでさえ細っせーのに。あ、着いた」

エレベーターの扉が開く。コズモはエレベーターから出てまっすぐ進んだ。静かな廊下を少し進むと、’chiru nonomiya'というプレートがかけられた部屋があった。コズモはその扉を軽くノックして言った。

「姉貴、俺、コズモ。入るぞ」
扉を開けると、千流がくるくる回る椅子に深く腰掛け、顔をコズモと等流に向けていた。

「ああ、コズモ。どうした、何かあったか」
「姉貴が連れて来いって言ったから連れてきたんだよ。ほら、等しいに流れるって書いてらるって読む女の子とプレゼンが一緒になったって話しただろう?やっぱりらるって読むし、女子だったぞ」
予想が当たったことを少し自慢げにコズモは言う。後ろにいた等流をそっと押して千流の前に出した。緊張してるのか、触れた彼女の体は固く、少しよろめいた。

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