おやすみ、いい夢を

君の叫びは聞こえてる /買い物

等流はその日、いやほとんど毎日眠れていなかった。
継母は等流が眠っているときにも容赦なく暴力をふるっていたので、等流は常に警戒していなくてはならなかった。
朝、ゆっくり日が昇り部屋を照らしていく中で、等流は横で眠る千流の顔をじっと見ていた。
傷のない透き通るような白い肌、長いまつげ、形の良い唇。こんなふうに自分もきれいだったなら、賢ければ愛されたのだろうか。しかし自分がもしそうであっても愛されたとは思えなかった。自分が自分である限り愛されないだろう、と思った。

千流は日がまぶしかったのか、目を細めながらあけた。
「ああ、等流、おはよう。よく眠れたか?」
はい、と等流は口を動かした。
「そうか、よかった・・・」
そういうと千流はもう一度眠りに入ってしまった。

たぶんもう6時は過ぎているだろう。朝食を作らなくては、と思い、等流はふとんからそっと抜け出た。
リビングに行くとすでにコズモがいた。
「あ、等流、おはよ!よく眠れたか?」
うん、と等流は頷く。
「等流朝早えな。姉貴は?爆睡してるだろ?」
『さっきおきたけど、またねた』
「ははっ、だよなあ。あのひとめちゃくちゃ寝覚め悪いんだ」
そうなんだ、と等流は軽く頷く。
「姉貴の行動って、なにもかもやっぱり天才だからって思っちゃうんだよなあ。コーヒーに砂糖大量につっこんだり、超ロングスリーパーだったり、そういう変わった部分全部。凡人がやったらただのへんな奴だけどな」
等流は思わず笑ってしまう。

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