もう、妹だなんて思えない。【完】

秘密の関係

次の日───
目が覚めて最初に目に入ったのが、見慣れた天井
だったことにひどく安心した。

病院の先生も看護師さんもみんな親切だったけど
やっぱり家がいい。

ゆっくりと起き上がってリビングへ行くと
空腹を刺激する匂いが鼻を掠めた。


「おはよう。」

「おはよう。よく眠れた?」


お父さんとお母さんが笑顔で迎えてくれる。
その姿にホッとした。


「おはよう。
寝坊しちゃってごめんなさい。」

「気にするな。
まだ退院したばっかりなんだから。」


先にテーブルについて朝食を食べていたはる兄が
然り気無くフォローしてくれる。

そんな小さなことが今は嬉しい。

私に向けられる優しい眼差しに少し恥ずかしさを
覚えつつテーブルにつくと、ガチャッとリビングの
ドアが開けられた。


「じゃあ、行ってくるよ。」


言いながらドアから顔を出したのは、スーツを着た
しず兄。

思わず固まってしまった私を見て、どこか困った
ように微笑んだ。


「・・・行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」


なるべく不自然にならないように言ったつもり
だけど、思ったよりずっと小さな声になってしまう。

そんな私にいつもと変わらない柔らかな笑顔を
向けて、しず兄は家を出て行った。

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