もう、妹だなんて思えない。【完】

選択

季節は変わり、あっという間にコートやマフラーが
必要な季節になった。

そうやって時間が過ぎていく中で、私も
一つ変わったことがある。
それは先日、大学に復帰したことだ。

だいぶ記憶が戻ってきて、勉強もコツコツとして
きたおかげで以前と同じ生活を送っても何も
支障はない。

ここに行き着くまでに、両親よりもお兄ちゃん達の
了解を得ることの方が大変だった。
何度も話して、やっと許しが出たのが先週。

ただ、以前と同じ生活と言ってもお兄ちゃん達の
記憶だけは戻らない。
血が繋がっていないことを思い出して、それが
突破口になると思っていたのに。

しず兄と鈴原絢音さんのこと。
はる兄が家を出ていくこと。

───きっとそれが、"私"が私に記憶をなくさせて
しまったことと何か関係があるのだと思う。

二人のお兄ちゃんは相変わらず私に優しく
そして甘い。
記憶が戻らない私なのに。
まるでいつまでも、そのままで居て欲しいと
言われているような気さえする。

そろそろ、自分の力だけで思い出すことに
限界を感じていた。


そんなある日の夜、久しぶりに私の部屋に
コンコンとノックの音が響いた───。

  • しおりをはさむ
  • 100
  • 1535
/ 110ページ
このページを編集する