指先からロマンチカ【完】

指先からロマンチカ /touch.09




「気を付けて帰って下さい」




優しい彼女の言葉を思わず無視して、ミツに声を掛けて若葉の家から去った。




若葉の家から離れた所で、



「俺、心狭…」



俺は両手で顔を覆ってその場にしゃがみ込んで、自分の心の狭さに嘆いていた。





「なんで無視しちゃったんだよ…」


「純くんがちっちゃい男だからじゃなーい?」




落ち込んでいれば、追いついてきたミツから追い討ちが掛けられる。




「和葉ちゃん落ち込んでたよ」


「えっ」




可哀想、なんてミツに言われて俺の気持ちは更に落ちる。




でも、和葉ちゃんが落ち込んだって、それって。



少なくとも、和葉ちゃんの中で俺の存在がどうでも良くないって事だよな?




どうでもいい人間に無視されようが、それこそどうでもいいもんな?





「あの男の子は彼氏じゃないんだって。つまんないね」


「つまんなくねぇよ!よかったわ!」





ミツがニコニコと笑いながら、教えられて心底安心する。



彼氏じゃなくて本当に良かった。



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