永遠回帰

永遠回帰 /第九章 疑い

大学構内にある掲示板。

それを見た加奈は、思わずその場に崩れ落ちた。

「竹浦のビジネス英語が休講って……」

加奈は昨日、階段から転がり落ちた男を思い出していた。

――やっぱりあれは竹浦だったの?

加奈は体の奥底から発生する震えを抑えることができなかった。

「加奈? どうしたの!?」

頭上から、心配そうな千夏の声が聞こえてきて、加奈は顔を上げた。

「千夏……」

加奈は立ち上がると、千夏に抱きついた。

「なんかあったの? 休講になったし、学食に行って話ししよう」

千夏とならんで、学食へと向かう。

いつもと違って千夏は歩き方がおかしい。

足を踏み出す度に、右肩が下がる。

「千夏、足でも痛いの?」

「ああ、コレね。昨日の帰り、階段でコケちゃってさ」

「階段からって……まさか」

加奈は顔から血の気が引いていくのがわかった。

千夏は恥ずかしそうにヘラヘラと笑っている。

「急いで電車に乗ろうとしたら、階段を踏み外しちゃって。でもこの優れた反射神経で、すぐに手すりを掴んだから大丈夫だよ。ちょっと足首を捻っただけだから」

加奈は呼吸を繰り返すのがやっとだった。

階段から転落した竹浦。

そして階段で足首を捻った千夏……。

その裏には、清明がいると加奈は確信していた。

智也が言っていたセリフが蘇る。

『周りの人間を巻き込む可能性がある』

それは清明が、加奈の周りにいる人たちに危害を加えるということを意味していた。

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