永遠回帰

永遠回帰 /第十章 露呈した企み

結城は携帯電話を片手に、途方に暮れていた。

改めて長谷川奈々にコールしてみるが、呼び出し音が続くだけで、長谷川奈々は電話に出ることはなかった。

待ち合わせの時間から、すでに2時間が経過しようとしていた。

長谷川奈々とは札幌駅の西改札口を出たところで落ち合うことになっていた。

結城は一度改札前にあるベンチに腰を降ろすと、携帯電話を開いた。

長谷川奈々からのメールが届けられていないか、確認してみたが、やはり連絡はなかった。

結城は辺りを見回した。

夕刻になり、駅には人が溢れている。

昨晩、長谷川奈々は札幌に到着した。

関智也とふたりきりで話がしたいと言うので、結城は長谷川奈々を関智也の宿泊しているホテルまで案内してから、自分のホテルへと戻った。

それを最後に、長谷川奈々との連絡が途絶えている。

長谷川奈々が何かトラブルに巻き込まれたのではないかと、結城は気が気ではなかった。

いくら長谷川奈々に頼まれたからといって、ふたりきりで会わせてしまったことを今更ながら後悔していた。

「関智也のホテルに行ってみるか」

ベンチから立ち上がると、結城は視線を四方へと向けた。

長谷川奈々の姿がないか、辺りを探る。

ふうとひとつため息を吐き出すと、結城はベンチに置いておいたカバンに手を伸ばす。

だが手のひらは空気を掻くだけで、一向にカバンの取っ手には届かない。

「おい、嘘だろ……」

結城はベンチを凝視した。

そこにあったはずのカバンが見当たらない。

ベンチの下を覗き込んだが、カバンはその姿をきれいさっぱり消し去っていた。

置き引きに遭ったと分かるまで数分の時間を要した。

「なんでこんな時に」

結城は舌打ちをすると、ひとまず行先を関智也のホテルから交番へと変更することにした。

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