永遠回帰

永遠回帰 /第一章 自殺

冷たい風が、枯れ始めた木々を揺らす。

大学の敷地内に置かれたベンチに腰を下ろし、北川加奈は両手を摩りながら身震いした。

背中に刺すような視線を感じ、加奈は慌てて後ろを振り返った。

「まだビクビクしてるの? もうあれから半年近くも経つんだよ」

後ろに立っていたのは、加奈の親友である田辺千夏だった。

「なんだ、千夏か。びっくりさせないでよ」

「加奈が勝手に驚いたんでしょ? あの男のことは、もう終わったんだよ」

千夏はゆっくりと、加奈の隣に腰を下ろした。

「あの男が、すぐ近くで私を見張っているような気がしてならないの」

「あんなことをされたんだもん。加奈、そうとう辛かったと思うよ。だからこそ、早くその傷から立ち直らなくちゃね」

立ち並ぶ白樺の木々が、寒さをより一層演出するかのようにサワサワとざわめく。

「それよりこんなところにいて、午後からの講義、サボる気なの?」

千夏は子供を叱りつける母親のように、眉間にシワを寄せ唇を尖らせた。

「私は千夏と違って、単位足りてますから」

「あぁそう。加奈は私を置いて、午後からサボるっていうのね。この薄情者! 帰り一緒にパフェを食べに行こうと思ったのに……」

千夏は白々しいほどに肩を落とし、力なくベンチから立ち上がる。

「わかったわよ。午後からの講義、ちゃんと出るから」

「ホント!? よかった~。そうだ、私購買に寄ってから行くね。じゃ、後で」

遠ざかっていく千夏の背中を、加奈は微笑みながら眺めていた。

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