永遠回帰

永遠回帰 /第十二章 変貌

結城から電話がかかって来たのは、翌日の朝だった。

「どうして関智也が戻ったのに連絡をくれなかったんですか」

結城は電話口で大きな声を張り上げる。

話を聞けば、依然として長谷川奈々の行方がわからないままだという。

加奈は智也が清明の葬儀に行ったことを伝えると、結城は長谷川奈々と一緒かもしれないので自分も清明の葬儀に顔を出すと言った。

智也が戻ってきたこと、疑いが晴れたことに安心し、結城との約束も婚約者の存在も、加奈はすっかり忘れてしまっていた。

その日の夕方、葬儀を終えて智也が加奈の家に戻ってきた。

加奈はひとりきりで戻ってきた智也を見てホッと息をついた。

智也は疲れているのか、いつもと様子が違うように加奈は感じた。

「あの……お葬式はどうでした?」

「うん、まぁ」

加奈はそっけない返事をする智也を見て心配になった。

自分が疑ってしまったことを怒っているのか、長谷川奈々のことなのか、それとも結城と何かあったのか……、その真意はわからなかった。

「智也さん、怒ってますか? 私が疑ったりしたから」

加奈の言葉が聞こえていないのか、質問に答えないまま自分の携帯電話を取り出した。

「自分の葬儀に参加するっていうのは、あまりいい気分じゃないよ」

「……え?」

加奈は智也の言っている意味を理解することはできなかった。

浮かない表情のまま、智也は携帯電話の操作を続けている。

「智也……さん?」

「ちょっと待ってて。今メールを打ってるから。もうすぐで終わるよ」

静かな室内に、携帯電話のボタンを押す音だけが響いていた。

加奈はその姿を黙って見つめる。

いつものやさしい智也の姿はそこにはなかった。

パチンと智也が携帯電話を閉じた。

そのタイミングを見計らって加奈は声をかけた。

「この前は本当にごめんなさい。智也さん、葬儀でなにかあったん……」

そこまで言ったところで加奈の携帯電話がメールの受信を告げるメロディーを鳴らした。

「メールだよ」

加奈は智也に促され、テーブルの上に置いておいた携帯電話を開く。

送信者は、目の前にいる智也からだった。

加奈はちらりと智也を見やる。

だが智也は何事もなかったかのように、黙ってソファに腰をおろしていた。

加奈は訝しく思いながらもメールを開いた。

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