永遠回帰

永遠回帰 /第十三章 明かされる理由

「加奈が僕を受け入れてくれなかったから、だから僕は別人になるしかなかったんだよ。僕が悪いんじゃない。どうして僕を見てくれなかったの?」

「言っている意味がわからない」

加奈は冷たく言い放った。

「どうしてあなたは笹井清明になりすまして私に近づいてきたの? 身元を隠さなければならない理由でもあるの?」

人を殺め、監禁という罪を犯したこの男なら、過去に何かやましいことがあってもおかしくはないと加奈は思った。

「やましいことなんて何もないよ。笹井清明くんと僕は友達なんだ。だからその役をちょっと借りただけだよ」

「だから何のためにって聞いてるの。役を借りただけ?こんなことのために、笹井清明さんは死ななければならなかったの?」

加奈の言葉に、男の顔にうっすらと浮かんでいた笑みが消えた。

「こんなことのため?」

男は腹の底から絞り出すような低い声を出した。

その顔が徐々に紅潮していく。

男の体は小刻みに震えていた。

「加奈が悪いんだ。僕を受け入れてくれないから。だから僕は笹井清明の役を捨てなくてはならなくなったんだ。新しい役を得るために、僕は整形手術を受けた。そしてジムにも通って肉体改造もした。そうやって僕は新しく生まれ変わったんだ」

「だから殺したの? 本物の笹井清明が邪魔になって」

「違うよ! 清明は死にたいって言っていたんだ。だから代わりに僕が笹井清明の役を引き受けることにしただけだよ。清明は……北鷲海岸から身を投げた。そして僕自身も本当の自分を殺したんだ」

男は遠くを見るような目つきで、壁をじっと見つめていた。

どことなく寂しげなその姿に、加奈の中に同情心が芽生えた。

「あなたがどれほどつらい人生を送ってきたかはわからないけど、他人になりすまして生きるほうがもっとつらいと思う。こんなことはもうやめて、本当の自分に戻って」

「こんなこと!?」

突如男は大きな声をあげた。

「加奈にはわからない。僕がどれだけ苦しんできたか。僕がどれほど泣いてきたのか」

一瞬見せた寂しげな表情は見間違いだったのかと思わせるほど、男の顔は険しくなった。

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