永遠回帰

エピローグ

季節外れの雨が降っていた。

雪の予報が、気温が上昇したために雨に変わっていた。

加奈はビニール傘を片手に家を出た。

賀田は追ってくる警察官を振り切り、北鷲海岸から身を投げた。

すぐに病院に運ばれたが、すでに息はなかったという。

加奈が望んでいた狂言自殺とはいかず、遺体は賀田であると確認された。

葬儀は、賀田の意向で小樽で行われることとなった。

死に際、山梨にいる両親に賀田が電話でそう伝えたらしい。

加奈は電車に揺られ、小樽まで向かった。

右手に見えている灰色の海は、雨粒を受けてより濁りをましているように思えた。

小樽駅を降りると、加奈はタクシーに乗り込み、葬儀の会場まで向かった。

札幌よりも小樽の方が雨足は激しかった。

涙雨などというが、加奈にはそう思わなかった。

忌わしい北鷲海岸の記憶を、雨が洗い流そうとしているそんな風に感じた。

斎場に入ると、立派な祭壇が加奈を出迎えた。

そこに飾られた写真は、加奈の記憶の中では“笹井清明”だった。

笑顔を浮かべている遺影は、どこか見覚えのある顔だった。

それは小学生だった加奈がからかわれる原因となった――賀田の顔だった。

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