永遠回帰

永遠回帰 /第五章 もう一人の失踪者

結城探偵事務所の扉が叩かれたのは、約束の時間より5分前のことだった。

独立後、初めての依頼者を迎えるため、結城健人はジャケットの襟を指先で整えた。

2度咳ばらいをし、髪型を軽く直した後、改まった声で返事をする。

「どうぞ」

扉が開かれる。

入ってきたのは若い女性。

電話の声から幼い印象を持っていたが、実際はとても落ち着きのある雰囲気の女性だった。

「おかけください」

結城は、動揺を悟られないよう努めて堂々とした態度でそう言った。

「ユウキケントと申します。この度はよろしくお願いします」

名刺を差し出し、深々と頭をさげる。

今のところ、依頼者にはこれが独り立ちして初仕事であることはバレていないようだ。

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