永遠回帰

「探偵さんっていうから、中年の方を想像していたんで、びっくりしました」

依頼者は何度も目をパチクリさせている。

無理もないだろう。

結城は、先月叔父の結城泰治からこの結城事務所を引き継いだばかりだ。

「叔父が体を壊して引退してしまったんです。不安な点もあるかも知れませんが、ここは福岡でも一番古い探偵事務所で、叔父からも色々指南を受けていますからご安心ください」

叔父から探偵のいろはを学んだというのは本当だ。

福岡で一番古いというのは叔父の受け売りで、実際のところはどうなのか結城は知らなかった。

目の前の女性がどんな依頼をしてくるのか、さっぱり検討も付かない。

電話であらかじめ話を聞こうとしたのだが、依頼主の女性は、会ってから話をするからと、訪問日時をこちらに伝えてきただけだった。

たったひとり、叔父の力を借りずに無事にやってのけることができるのか、結城は大いに不安だった。

迷い猫の捜索や、せめて浮気調査であってくれたら……結城は心の中で依頼内容が複雑でないことを願った。

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