夜天使 Ⅱ【完】

*第六章* /本当の優しさ

--‥ぅぅ‥目が回る。


「仁?‥どこにいるの」


何度も呼ぶけど返事がない。


視界に眩しい光が入る。


闇にいた所為か、慣れない光に顔を歪めながら目を開けると瞳に映し出されたのは、いつもの真っ白な部屋。


--‥夢だったの?


グッと力を入れて上半身を起こすと、視界が闇に覆われぐるぐると目が回る。


光が戻るまで、ただジッと座って耐えるしかできない。


少しずつ視界に光りが戻ると、包帯が巻かれた足が目に入る。


あの修羅場のような光景を思い出し、辺りを見渡してみると。


あれだけ血に染まった部屋やシーツは、何も無かったように元通りで、五感が冴え渡る真っ白な部屋に戻っていた。


目眩が落ち着き窓の方へ視線を移すと、明るい日差しがカーテン越しに伝わる。


そんなカーテン越しの柔らかい光りを見つめながら、さっき見たリアルな夢を思い浮かべた。

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