舞蝶 1 -完-

第二章 /廉二-side-

「何時までだ?」

「…10時までです」


美緒が、嘘を吐いた。


スタンドのバイト時間が長引くと言う美緒。


何を―…している?


少し調べれば、すぐに足がついた。


“モデルのバイト”


輝樹に聞かされた時、すぐさま、あのガキが思い浮かんだ。


小橋 亨。


間違いなく、あの男が噛んでいる。


10時までスタンドにその姿がない事を知りながら、30分も前にはスタンドの前に立つ。


吸っても吸っても落ち着かない煙草を吸いながら、美緒の帰りを待った。


美緒は、俺が辞めろと言えば、辞めるだろう。


だが、それを言えないのは―…美緒に笑顔が増えたからだ。


一番、俺がしてやりたい事を、あいつはすんなりとやってしまう。


苛立ちと、悔しさが煙草の量を増やしていった。

0
  • しおりをはさむ
  • 584
  • 937
/ 293ページ
このページを編集する