舞蝶 1 -完-

第三章 /お願い

「良かったよ!亨!美緒ちゃん!最高!」


ステージ裏で、デザイナーの藤堂さんが興奮気味に私達を迎え入れる。


「ありがとうございました、藤堂さん」


綺麗に頭を下げる亨に、慌てて習う。


「どうだい?これから食事でも」


ニコニコとそう誘って来た藤堂さん。


「いえ、この後用事があるので」


亨は、サラッと断った。


嫌味に感じないその返し方に、やはり同い年とは思えない大人の雰囲気を感じてしまう。


「そうか、デート?」


私と亨を交互に見て、藤堂さんは笑った。


「そんなもんです」


爽やかに返して、亨は私の肩を抱く。


驚いて何も言えない私を余所に、亨は他のスタッフにも挨拶を済ませていた。


「お熱いね」


背中にその言葉を聞きながら、私達は現場を後にした。


「勘違いされたらどうするの!?」


“フェラーリ”に乗り込んですぐ、亨に噛み付く。


私はどうだっていいけど、トップモデルの亨にとったら大スキャンダルだ。


「勘違いされても構わないけど」


クスクスと笑う亨からは、焦りなんて感じない。


大丈夫なのかなぁ…。

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