舞蝶 1 -完-

第四章 /廉二-side-



“小橋亨 恋人発覚”


美緒が出たショーの事が載った雑誌を広げ、その見出しに不快感が沸き起こる。


あのくそガキの事じゃねぇか。


まさかと思いながらも、頭を過る不安は的中。


「…っ」


ウェディングドレスに身を包んだ美緒を抱き上げる、くそガキ。


まるで、恋人同士のように微笑み合って。


…ふざけやがって。


握りしめた雑誌が音を立てて形を変える。


この姿を、どれだけ俺が見たかったか。


俺の為に着て欲しいと、何度願ったか。


それをいとも簡単に成し遂げたくそガキ。


「くそっ…」


嫉妬以外の何物でもない、胸の奥に巣食うドロドロとしたもの。


吐き出そうとしても、出るのは溜息だけだった。


「若、いらっしゃいますか?」


トントンと軽いノックの音がして、輝樹の声が割って入る。


「あぁ」


答えると同時に開いたドアから、輝樹が心配そうな顔を覗かせた。

0
  • しおりをはさむ
  • 584
  • 936
/ 293ページ
このページを編集する