舞蝶 1 -完-

第四章 /対面

「廉二さん、何だったんだよ」

「えっ?」

「学校、サボったろ」

「……」


撮影スタジオで、髪をクルクルにセットしてもらいながら、亨の不機嫌な声に振り返る。


うわぁ…怒ってる。


腕を組んで、眉間にしわを寄せる亨は、その姿でさえ絵になって…。


って、そんな事思ってる場合じゃない!


「買い物だよ!ほら、私の日用品を買いに連れて行ってくれたの!」


本当は、誕生日プレゼントを買いに連れて行ってくれたんだけど、それは内緒にした。


あの後、学校に戻った時には、すでに下校時間が過ぎていて、そのままスタンドに送ってもらった。


亨の言うとおり、学校をサボる事になったのだ。


「ふ~ん」

「……」


疑ってます感、滲み出てます…亨さん。


「ほら!撮影、亨の番だよ!」


真っ白い背景に、ピンクの羽を散りばめたセットの中に渋々向かう亨の後姿を見送って、ふぅと息を吐いた。


あのショーの後から、“舞蝶”の反響が凄い。


それでなのか、私と亨、2人セットの撮影が多くなった。


「美緒ちゃん、今度はこれに着替えて亨の横に並んでね」

「あっ、はい」


スタイリストさんに渡されたチェック柄のふんわりとしたワンピースを眺めながら、もう一度小さく息を吐いた。

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