舞蝶 1 -完-

第四章 /廉二-side-

「廉二さん、誕生日おめでとうございます!!」


かつて、こんなに嬉しい誕生日があっただろうか。


愛しい人と迎えた、26年目の誕生日の朝。


“おめでとう”


こんなに嬉しい言葉だと言う事を、初めて知った。


“好き”


昨日の夜、確かに聞いた美緒の想い。


例え、それが俺の想いと同じじゃないとしても、昨日までとは違う何かが俺の中にある。


「美緒」

「えっ?」


ストッパーが外れたように、耐えきれない想いは―…。


「キス…していいか?」


言葉に変わった。


驚いたように瞳を揺らす美緒。


その姿を見て、自分の言葉に苦しくなった。


何を…俺は。


何度か、無理やりと言っていいほどのキスをした。


そんな経験をさせておいて、今さら。


「―っ」


“冗談だ”


そう言って、身体を引こうとする―必要はなかった。


コクンと小さく頷いた美緒。


もう、止められない。


その細い身体を抱き寄せ、顎に手を添える。


上向かせた美緒と瞳を合わせ、優しく微笑んだ。

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