気ままな猫が溺愛中【完】

遅刻しました。

―――その日は、いつも鳴るはずの目覚まし時計が鳴らず、起きない時は起こしてくれる母は朝早くに家を出てしまっていたんだ。


だから、目が覚めた時はすでに9時を回っている状態だった。


人間、受け入れたくないことに直面すると、思考が停止するらしい。


「……9時?……あれ、学校って何時に始まるっけ。」


分かり切っていることを口に出して現実逃避を行い、
5分経過。ようやく現実を受け入れ、飛び起きた。


「あああああああ!!遅刻!!」


急いで顔を洗って歯磨きをし、着替えるとご飯を食べる間もなく家を飛び出した。


マンションの階段を駆け下りて、家から歩いて30分ほどの学校へ走る。ただ、普段運動をしていないため、体力はそんなにない。5分も経たない内に走るのをやめ、歩き始めた。


「……もう1時間目には間に合わないよね。」


鞄につけている時計を見ると、10時前。今まで無遅刻無欠席だった分、遅刻してしまうと、もういいか、とどうでもよくなるから不思議だ。


私の名前は西沢小春。高校に入学して、もう今は7月。学校生活にも慣れ、友達もできた。家から近く、徒歩で行ける高校は、偏差値は県内でも下の方だ。


……いや、一番下だ。そのせいか、いわゆる不良の人が多い。しかし、窓ガラスがしょっちゅう割れるなんてことはない。いろいろなおもしろい制度がある学校だからだ。


とりあえず学校に行こうと歩き出す。朝ご飯を食べていないことを思い出すとお腹が減ってくる。お弁当を作る暇もなく飛び出したからお昼もない。こんな日に限って財布を家に置いてきてしまった。


なぜ昨日、鞄から財布を出したのだろう。よりにもよって。歩く中でコンビニがあるのに寄っても買うお金がない。


そんなことを考えている内に、校門が見えてきた。当たり前だが閉まっている。鍵はかけられていないので、ガラガラと開ける。人がいないせいか、やけに音が響く。入ろうとした時、


………ジャリ


後ろから、靴が砂に擦れる音が聞こえた。

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