気ままな猫が溺愛中【完】

「秋人!もう休み時間終わっちゃう!」


と足を踏ん張って、どこに行くか分からない秋人を止まらせる。クラスメイトたちは何だ何だとざわざわし始める。


「あの、鞄返して?」


「嫌。」


即答した秋人は、片方の口角を挙げて笑みを浮かべ、意地が悪い顔をしていた。そして、


「…小春。誰もいないとこ行こ?」


電話するんでしょ?と付け加えられた言葉は囁くように発せられる。でも、電話は次の休み時間にすればいいし、授業始まっちゃうし、とどうすればいいか迷っていると、


「…時間切れ。」


結局、教室の外へ連れ出されてしまう。秋人と比べると小さすぎる私が足を踏ん張ったところで、なんの効果もないことを実感した。


「え、あの、どこ行くの?」


屋上に行くのかと思いきや、違う道を歩いてることに気付き、問いかける。


「…?誰もいないとこ。」


そして何言ってるのと言わんばかりに、不思議そうにそう返される。もうチャイムが鳴るはずだが、廊下にはまだまだ多くの生徒がいて、その秋人の言葉を聞いて騒がしくなる。


それになぜか機嫌良くした秋人は繋いでいる手を少し揺らして、歩くペースもゆっくりになる。


どこに向かっているのか分からないままだが、とりあえず鞄を返してもらわなければ。そう思いながら、秋人が行く方へとついて行く。


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