生贄x



サラッとした黒髪は肌の蒼白さが際立つような黒。整った顔立ちで目を開けば気だるい灰色の瞳は閉じられ、前にここに訪れた時とは明らかに違う。


「これは…」

「治せ」

「え?」

「ミューを助け出したら治すという交渉を坐とした。詳しい説明は後だ。治せるのか治せないのか?」


真剣で不安そうで、恐怖も混じった白樹さんの凄んだ表情には胸の奥が貫かれるようだった。

アテられたと言えばいいのか。白樹さんの想いは純粋過ぎて、私の胸の奥にまで染み込んでくるようだ。

後から来た坐さん達に振り返ると出来そうか?と無言で問いかけてくるのがわかった。

急に何がどうしてこうなってるのかさっぱりわからないけど、私のやるべきことはわかる。


「わかりました。」


静かに頷いて彼、確か水さんと前に坐さんが零していた名前を思い出しつつ彼の身体に手を当てた。

どこがどう悪いのかわからないなんてことは私には関係ない。

ただ、ミューさんに集中して力を送り込んだから水さんを回復させるだけの余力が残っているかがわからない。

いや、回復させないといけないんだ。


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  • 1994
  • 22269
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