生贄x

神の章 /誓い



帰り道、獄さんが私の手を繋ぐことはなかった。

まるで触るのを恐れるかのように距離が開いて歩いていた。

彼の後を私が追って……隣に並ぶこともなかった。

駅に到着して電車を待ちながら殺風景な無人駅にふたりぼっち。

終始無言だった獄さんがやっと口を開いた言葉は…


「なんも聞かねえの?」


思ったよりもしっかりとした響きだった。

座って待つ獄さんと、立って線路の向こうを見ていた私。

振り返るまでもなく、獄さんの顔なんて見えるわけもない暗い駅のホームで私が返す言葉なんて決まっていた。


「だって興味ありませんし」


ミューさんのことを聞いたのはとりあえず自分が抜け出す方法を忘れていた事への後ろめたさだったし。あと暇だったし。

でもやっぱり聞かなければよかったとは思いましたが…。


「ははっ……そりゃそうだな。」

「ていうか、多分私聞きたくないんですよ。」


ゆっくりと獄さんが居るだろうところに向かって振り返っても暗いこのホームでは月明かりだけが頼り。

駅のベンチに座っている獄さんは顔こそ暗闇に覆い隠されて足元だけがわかる。


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  • 1994
  • 22108
/ 325ページ
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