生贄x

神の章 /生贄決定



_____数時間前。


夜の匂いに身を溶かし、複雑な路地を何度も何度も迷いながら抜けてようやく辿り着いた建物を見上げる。

やっと見つけた事務所の階段を上り、扉に金のプレートが掛けられただけの簡易なそれには“解決屋”と書かれていた。

間違いなさそうだと腹をくくって中に入り、奥の扉を開けると________…

椅子というものがありながら簡易なデスクの上に乗っかって、足を組み腕を組み、私に気づいて顔を向けてくる女が一人。

第一印象はアンティークドール。

もうその言葉がしっくりくる大きな瞳と精巧な顔立ち。何よりも人間味に欠けた私と同じパープルアイは私よりも透け感があり、白磁の肌によく似合う。

長く伸びた髪はウェーブが強く、本当に生きている人間なのか疑うような造りをしている。


「________あの、」


まあそんなことはどうだっていい。私の目的はひとつ。


「依頼があって、」


解決屋。それは……


「内容は後だ」

「へ?」

「依頼するだけの金はあるんだろうな?」


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  • 1994
  • 22226
/ 325ページ
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