Spiral【完】

─ 9.


折原さんはそう。
例えるなら悪魔だ。

あの底知れぬ雰囲気と妖艶な微笑み。
そして、あの冷たい双眸。

女子更衣室で制服から私服に着替えるため、ため息と同時にロッカーを開けた。

あれから数日。
フロアでの折原さんは、私なんかまったく意識していないみたいにやはりそつなく仕事をこなしている。

意識しているのは、私だけ。
それがなんだか悔しくて、私だって平気なふりをしているのだけれど。
とにかく、疲れる。

私はもう一度、大きく吸い込んだ息を“はぁ”と吐き出した。


「あ、葵ちゃんお疲れ~」

「お疲れ様」

ノックとともに私が返事をする間もなく女子更衣室に入ってきたのは、今日はこれからシフトに入る坪井さん。
そして坪井さんと仲のいい小池さんだ。

「お疲れ様です」


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