Spiral【完】

─ 10.


夏休みが、こんなに長いと感じたのは初めてだった。

いつもなら、課題とバイトにおわれてあっという間に夏が過ぎ去るのに。
今年は受験の年で、私たち3年生には課題もない。

相変わらず私は折原さんとはシフトがあまり被らないようにしている。
あれから、折原さんが私に無理矢理なにかすることはない。

それは、正直よかったのだけれど。
折原さんが坪井さんと話しているのをみるだけで、チクリと胸が痛んだ。

2人の関係はどうなったのだろうか。
聞きたいけれど、聞くことなんてできない。
否、聞きたくなんかない。

私には……関係のないことだ。


「葵ちゃん、ちょっといいかな?」

密かにため息を吐いていると、エリアマネージャーの金谷さんに事務所に呼ばれた。

「あ、はい」


0
  • しおりをはさむ
  • 746
  • 10976
/ 450ページ
このページを編集する