Spiral【完】

─ 11.


夏も終わるというのに、今日も外気はムンとした熱に充ちていた。
焼かれたアスファルトが冷める様子はない。

傾き暮れていく夕日にむかって、私は息を吐いて歩き出した。

いつものように店の裏口から正面へ回ると、店先から店内を見ている女性がいた。

40代くらいの綺麗な人。
しきりに店内を気にしてはいるが、中に入ろうとはしない。

待ち合わせで、誰かを探しているのだろうか。

「あの……」

もう制服を着ていないし、余計なお世話かとも思ったが、気になって声をかけてしまった。
振り向いた女性はやはり綺麗で、しかし急に私に声をかけられたことでやや警戒しているようにみえる。

「驚かせてしまってすみません。私、ここで働いている者です。なにかお困りですか?」

「あ。いえ、いいんです。ごめんなさい」


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