Spiral【完】

─ 12.


「ゴムねぇし。いくらなんでもこんなとこで処女くわねぇよ」

あの日、あまりにもその、甘い雰囲気というか、このままもしかしたら……みたいな空気に耐えられず、私が呟いたのは……。

『は、母が帰ってきますから』

だった。

折原さんは声をあげて笑った末に、私にそんな爆弾発言と、もう一度触れるだけのキスを落として帰っていった。

明確な言葉も、なにを伝えあったわけでもないのだけれど。
お互いになんとなくでもわかりあえた気がして。

心が通じた気がしたんだ。
だから、私の頭が沸騰しそうな程に熱くなっていたことも、キャパシティオーバーで発火寸前だってことも。

折原さんはお見通しだったのだろう。

本当は母が帰ってくるなんて嘘。
身を粉にして働いている母の帰りはいつも深夜近くだ。


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