Spiral【完】

─ 13.


優雅でクラシックな雰囲気の漂うロビー。
開放的で美しいその空間の片隅で、私は俯いてできるだけ身を小さくしていた。

22時を過ぎたロビーは人通りもなく静かだが、こんなラフな格好の私はかなり場違いでやはり所在ない。

カードキーを手に戻ってきた折原さんは、そんな私の心情なんかお構いなしに手を握った。

「ちょっ……」

そのままエレベーターホールへとむかうから、私の鼓動はまた跳ねる。

最上階に近い高層階で、ガラス張りのエレベーターが小さな音とともに停止した。

手を握られたままの私は、緊張で手汗をかいていないかなんて、つい色気のないことばかり考えてしまう。

誰もいないフロアを落ち着きなくキョロキョロとみているうちに、カードキーで扉を解錠した折原さんに部屋の中へと促された。


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