Spiral【完】

─ 16.


駒谷課長のマンションからタクシーでアパートへと帰りついた。

小さなワンルームの自分の部屋を見渡せば、華やかな世界からこちら側に戻ってきたのだと実感がわく。
ラグに座り込んで、テーブルに突っ伏した。

これから、どうしたらいいのだろう。
私はまた消えなければならないのだろうか。

逃げて、逃げて、どこまで逃げればいいのだろう。

“逃がさねぇから”

折原さんの声が私を底のない渦へと突き落とす。

私は、どうしたらいい?

気がつくと、マナーモードにしていた携帯電話が震動していた。
辺りはすっかり暗く、夜の闇が迫っている。

身体を起こして鞄の中で光るそれを手にすれば、着信は裕からだった。
迷わず通話ボタンを押して、携帯電話を耳にあてる。

「……裕」

『葵? どうした?』


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