Spiral【完】

─ 20.


“愛人”にするつもりなら、構わない。

私が言ったんだ。
7年前の私は折原さんが“愛人”なんてものを忌み嫌っていることを知っていたから。


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シーガーデン東京のスイートルーム。

キングサイズのベッドではなく、ソファで抵抗もせずに抱かれた私に、折原さんが最後に呟いたのは。

“最低だな”

その一言だった。

固く閉じていた目尻からこめかみへ伝った涙を、隠すようにまた顔をそらす。
整わない息を荒く吐きながら、折原さんが服を着る布擦れの音を聞いていた。

部屋を出ていく寸前に、バスルームから持ってきたタオルをかけてくれた折原さんにお礼さえ言えない自分を呪う。
もう後戻りなどできないのだと、タオルを巻き付けた身体を折り畳むように小さくした。


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