Spiral【完】

─ 21.


「彼女の夢だった保育士に、葵がなればいい」

そう言ってくれたのは裕だった。

裕曰く“生ける屍”だった私を気にかけて、裕は自分のことを話してくれた。
七海が亡くなってから、人と関わることをやめていた私にまるでリハビリをさせるみたいに。

ゆっくりと日数と時間をかけて、いつだってただ黙って私の話を聞いてくれた。

いつものように黙って相槌をうちながら七海との話を聞いてくれた裕は、私がそれを終えた途端に事も無げにそう言った。

私はきっと間抜けな顔をしていたのだろう。
裕がぶっと噴き出すから、私は思わずムッとした。

「夢なんて、持てないだろ? 葵は」

崩した表情を苦笑に変えて、裕は目を細める。

図星だった。
私に夢を持つ資格なんてない。
だけど、それと同時に裕もそうなのだと思った。


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