Spiral【完】

─ 22.


私の自室の向かいにある扉。
単純にここは折原さんの部屋なのだろうと思っていた。

しかし、ここは私にあてがわれたマンションであって、折原さんの自宅ではない。

力の入らない私の身体を片腕で抱き抱えるようにして、折原さんが開けたその扉の先には、あのスイートルームでしかみたことのない大きなキングサイズのベッドがあるのみだった。

押し倒すでもなく、投げられるようにしてそのベッドに落とされると、私はうつ伏せのまま目を閉じる。

考えてみればひとつしかない。
男が“愛人”の部屋を訪れる理由。

それはただ、抱くためだ。

だから“愛人”はただ黙って抱かれればいい。

部屋着代わりのマキシワンピの背中。
ベッドが軋む振動とともにそこへ口付けられた。
ゾクリと素直に粟立った肌が恨めしい。


0
  • しおりをはさむ
  • 746
  • 10976
/ 450ページ
このページを編集する