Spiral【完】

─ 24.


翌朝はアラームが鳴るよりも先にかかってきた、裕からの着信に起こされた。

『大丈夫か?』

「……ん、大丈夫」

朝に弱い私を知っている裕に、寝起きバレバレの掠れた声で返事をすれば、聞こえたのは苦笑。
いつものようにのそのそとベッドから降りた。

今日は契約書類の確認があるから、派遣会社の担当として裕が同行する。
最寄り駅での待ち合わせ時間を決めて、電話を切った。

折原さんの指示通りに寝室のクローゼットを開ければ、新品のスーツが10着も揃えられていた。
私には絶対に買えない、有名ブランドの上質でシックなものばかり。

ネイビーのスーツを選んで身に纏ったものの、着ぐるみを被ったような違和感が否めない。
なんだかスーツに着られているフレッシュマンみたいだと嘆息しつつ、身支度を整えて出かけた。


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