Spiral【完】

─ 25.


折原さんを“折原部長”と呼ぶようになって、1週間が過ぎた。

シーガーデン横浜の正式なオープンまでは2ヶ月ちょっとあるが、披露パーティーやプレオープンまではあと1ヶ月。
半月後には完成祝賀のパーティーもある。

折原部長は本当に多忙を極めていた。

それぞれの担当社員からあがってくる報告をまとめて、進行状況の確認をする部長のデスクにコーヒーを置く。
こんなに近い距離で仕事をしていても、折原部長はいつも無言だ。
私をみることさえない。

ブラインドを下ろさなければ運営部がみえるとはいえ、閉鎖された空間。
この1週間は、ただひたすらに息を潜めているような感覚だった。

仕事となると、折原部長は松木さんの表現通り“鬼”だった。
部下を叱り飛ばす声に、私は何度も身を竦めた。


  • しおりをはさむ
  • 749
  • 11007
/ 450ページ
このページを編集する