Spiral【完】

─ 27.


折原部長の舌打ちを最後に、落ちたのは凍てつくような沈黙。
それを破ったのは、部長のスマホの着信音だった。

パーティーのホストが長時間会場を不在にするわけにはいかない。
いまだ涙と嗚咽を止めることができない私は、社員が使用している階下の客室へと送られた。

「今日はもう、部屋から出るな」

そう言い残して、折原部長はドアを閉めた。
未練がましくもそのドアに手をおいて、私はまたずるずるとそこに座り込む。

駒谷課長の“投石”は、私の心に大きな波紋をひろげた。

“手切れ金を受け取ったこと、折原が信じてると思う?”

課長の言葉を思い出して反芻する。
あえてと前置きのあったそれは問いではなく、肯定。

つまり、折原部長は私が7年前にお金を受け取っていないと知っている……ということだ。


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