Spiral【完】

─ 29.


side A

社員が使用している客室がここでは一番リーズナブルな部屋とはいえ、シーガーデンはリゾートホテル。
部屋のタイプはダブルかツインからだ。

扉が閉まったと同時に重ねられた唇。
容易く侵入した折原部長の舌が、私の口内を誘うように蠢いた。
誘ったのは私の筈なのに、絡められた舌に息があがる。

いつかと同じ……シャンパンの味。

急激に酔わされた私の身体から、微かな緊張が熱に溶けた。

抱き上げられ、唇を合わせたまま落とされたのはダブルベッド。
部長の部屋はダブルなんだ、なんてことを思っている間に、性急に服が脱がされていた。

言葉の代わりに久しぶりに交わった視線。
そこに光る冷たい漆黒の奥に、熱情が揺れているのが嬉しいのは、女の性なのだろうか。

「ずいぶんと余裕だな」


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