Spiral【完】

─ 31.


もしも。
偶然にでも葵に会えたとしたら。
俺はみっともなくも泣くような気がしていた。

もしも、もう一度。
葵に会えたら……。


会長秘書から、折原と関連のある企業の創立パーティーに出席するよう言われたのは一昨日。
多忙だと断っても、“顔を出すだけでも結構ですのでご出席ください”と抑揚のない声で返された。

この企業のパーティーなら、おそらく駒谷も出席するだろう。
スケジュールを確認しつつ、俺はため息とともに手帳を閉じた。



六本木のアクアマリンホテルに着いたのは、パーティーが始まってかなりの時間が経ってからだった。
打ち合わせが延びたうえ、正装に着替えていたら遅くなった。

とりあえず顔を出せばいいというくらいのパーティー。
会場の入口を静かに開けて中を見渡した。


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