Spiral【完】

─ 34.


折原グループ本社。
いつみても威圧的に感じるこの建物に車で乗り付けた俺は、警備員と受付にシーガーデンのIDを提示してエレベーターホールにむかった。

俺がグループの本社に来ることはほとんどないから、そこかしこから“社長の息子だ”とか“あれが例の御曹司?”なんてひそひそと話す声が聞こえる。
慣れてはいるが、思わずため息が出た。

アタッシュケースを握り締めてエレベーターに乗り、押すのは最上階のボタン。

当然、父親は俺が来ることを秘書から聞いているだろう。
秘書室を覗いて軽く挨拶をしてから、社長室の扉を叩いた。

柄にもなく緊張をしているのは自覚済み。

「はい」

「失礼します」

返事を待って重厚な扉を開ければ、父親は既にデスクから立ち上がっていた。


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