Spiral【完】

─ 37.


「おかえりなさい」

リビングの扉を開けて帰宅した柊司さんを、私はキッチンから振り返る。

「ただいま」

ネクタイを緩める仕草に見惚れそうになって、慌てて視線も意識も手元の包丁へと戻した。
唇を引き結んで、料理を再開する。

あれからすぐに、柊司さんとこのマンションで一緒に暮らし始めた。
柊司さんは初めからそのつもりでここを借りたらしい。
寝室はそのままだけれど、私の部屋はベッドをなくして2人の服や本などを仕舞う部屋になった。

「今日は早かったんだな」

「チーフマネージャーに、早く帰れって言われました」

本当は“折原社長に怒られるから早く帰れ”って言われたのだけれど。
そこは黙っておいた。

ドレッシングを作って、冷蔵庫に入れておいたサラダを取り出す。


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